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2017年2月号
聞き手/ アル北郷 & 三又又三
第11回 秋山見学者
秋山見学者(あきやま けんがくしゃ)
北野映画 出演歴
89年「その男、凶暴につき」      
90年「3-4×10月」
91年「あの夏、一番静かな海。」



三又又三(みまた またぞう)
北野映画出演歴
08年「アキレスと亀」



アル北郷(ある きたごう)
北野映画出演歴
98年「HANA-BI」
99年「菊次郎の夏」
01年「BROTHER」
02年「Dolls」
03年「座頭市」
05年「TAKESHIS’」
07年「監督・ばんざい!」
08年「アキレスと亀」



「たけし城」の収録現場でバンバン蹴られた

北郷 本日のゲストは「たけしー・ドライバー」(太田出版)でおなじみ、北野映画には「その男、凶暴につき」(89年)から3作連続で出演された、秋山見学者さんです。よろしくお願いします。



秋山 よろしくお願いします。カンペを用意してきました。ネタを忘れないように。

三又 真面目だなぁ~

北郷 あれですもんね。秋山さんは何つったって、たけし軍団の「役者部」第1号!

三又 俺が「オフィス北野」入る前、忘れもしない銀座の映画館で「その男、凶暴につき」を観ましたよ。

北郷 あ、同じくですね~。

三又 観てたら秋山さんが出てきて――。

秋山 とんでもないです。

北郷 あの役はいい役でしたからね。まー、そのへんの話はあとでじっくりお聞きします。僕はたけし軍団入る前、やっぱり、たけし軍団のことをいろいろと調べるじゃないですか? それで、キッドさんが新宿でやってた「オフィス北野ライブ」でネタをやってたのを観たのが、初めての生・秋山さんです。

秋山 プ~ッ(噴き出す)!

三又 俺も観てる。

北郷 しっかりとネタをやってましたよね。

三又 あのね、結婚式のスピーチのネタで、1個もウケてなかったですよ。

北郷 ははは。僕が覚えてるのは、秋山さんが出てくる時に毎回「威風堂々」がかかるんですよ。

三又 ハハハハハ~!

北郷 あれがすげぇバカバカしくて好きだったんですよね。「威風堂々」で、チャ~チャチャチャ~って、すごい豪華なんですけど、すげぇチープなんですよね(笑)。

秋山 ふふふふ。

三又 くくくく。

北郷 あと、舘ひろしを元ネタにした「館(やかた)ひろし」ってありましたよね。

秋山 お前、よく覚えてるな(笑)。

北郷 一人芝居。それを博士が上から見てニヤニヤしてるんですよね。それで、チョイナさんの時には「チョイナ、間違えてるぞ」とか上からヤジるんだよね。

三又 なるほど、秋山さんのは一人芝居シリーズだったんですね、僕が観たスピーチも。

北郷 秋山さんは基本、一人芝居ですもんね。だから、イッセー尾形的なことですよ。

秋山 そうそう。

三又 ハハハハハ~! 悪いヤツだな、お前は(笑)。

北郷 いや、それは本当だから。チョイナさんは完全にアガッちゃってて全然ダメだけど、秋山さんはウケるウケないはあんまり言いませんけど、世界観はありましたよね。

三又 記憶が戻った。女装してスピーチしてた。

北郷 あった。

秋山 あったあった。

北郷 ですから、あと、館(やかた)ひろしですよ。

秋山 舘ひろしの「免許がない!」のパロディーで。

北郷 あ、そうそう、映画のパロディで、芝居をしてたんですよ。

秋山 それを殿の前でやったんだよ。

北郷 えぇ(笑)。

秋山 「お前、それどこでやんだよ?」とか言って、「いや、渋谷の道頓堀劇場で」「そんなことやってウケんのかよ、お前」って(笑)。

北郷 ハハハハハ。

秋山 あの時、みんながネタをやらされてた時代で。

北郷 そうですよね。殿に何度か若手がネタ見せをしていたという。

秋山 いやぁ~、そんなとこから攻めてくるのか(笑)。

三又 こんな入り方でした。



北郷 秋山さんは兵庫出身で――。

秋山 はい、そうですね。兵庫県神戸市出身です。

北郷 もとからバリバリ役者志望なんですよね。

秋山 もともと有名になりたかったの。神戸にいて、二浪してダメで、大阪放送劇団っていう、NHKが後ろ盾のとこに入って、そこで知り合った4人で一緒に「東京出ようよ」って言って。

北郷 みんなで東京に来たんですか? 芝居仲間と。

秋山 そうそう。そこでたまたま芹沢名人と出会って。

北郷 はいはい。

秋山 それで芹沢名人、あの人は渡辺謙とか新藤栄作とか有名どころがいた演劇集団「円」ってところにいた人ですから、本物の役者さんなの。でもあの人はスケベ心があるから、地道に役者で上がっていくんじゃなくて、簡単にテレビ出る方法はないかなっていうんで。

北郷 その匂いはプンプンですよね。

秋山 そうそう。軍団に入れば「スポーツ大将」「スーパージョッキー」って、何だかんだあるから。

三又 弟さん(芹澤信雄)がプロゴルファーだし。

秋山 ゴルフやってるし。それで「秋山、一緒に入ろうぜ」っていうことになって。

北郷 誘われたんですね。でもそれって、たけし軍団だからお笑いじゃないですか。

秋山 はいはい。

北郷 その時はもうキッカケだけでもいいみたいな感じだったんですか?

秋山 いや、俺はね、キッカケも何もなかった。ただ、芹澤さんが俺の部屋に遊びに来た時に、たまたま俺が「ひょうきん族」を初期の頃から見てたのを知って、一人で弟子入りするの大変だから、〝秋山はたけしさんのこと好きだそうだから、一緒に誘おうかな〟っていう。

北郷 ハハハ。

三又 なるほどぉ~。

北郷 もう一人いたほうが安心だみたいな。

秋山 そうそう。

北郷 まぁ、その気持ちはわかりますよ。友達と一緒にっていう。

三又 ハハハハハ。僕がラジオを聴いてた頃は、殿が秋山さんの話をずっとしてましたもんね。ま~た、あの野郎って。

北郷 そうそう。必ず秋山さんの運転手トークね。

秋山 いや、あれやってる時は必死。殿はいろいろトークでおっしゃって、ほぼほぼ本当だったりするけど、ちょっとここ作ってんなというのもあって。

北郷 今、たけし軍団の運転手には、10年ぐらい前から役者志望がなっていたりするんですよ。その元祖ですからね。

秋山 そうなんですか。

三又 道を作ったんですねぇ~、秋山さんが。

北郷 そうそう。今付いてる石塚っていうのがいるんですよ、ちょっと男前の。彼も今、役者として「北野映画」に出ています。その元祖、秋山さんといえば、第1作目「その男、凶暴につき」で最高の役だったじゃないですか。

秋山 観た? 観た?

北郷 観たどころじゃないですよ。

三又 観たどころじゃないですよ~。

北郷 どんだけ俺らが観て、うらやましいって思ったか。

三又 うらやましいのと、あの映画館出た時の衝撃ね。こんな映画、観たことねぇよっていう。

北郷 映画としてのショックもあるし、あとやっぱ、たけし軍団は「ひょうきん族」とかで松尾さんが使われたりとか、そういうのはあったけど、まさか映画に出演するとは――。

三又 そうそう。

北郷 しかも、失礼ながら、うまかったじゃないですか。何の違和感もない、自然な演技で。まるで10年ぐらい舞台やってる、どこぞの新進気鋭の劇団の方かと思いましたよ。

秋山 ハハハハハ。

三又 ハハハハハ~。

北郷 こんなこと言うのはおこがましいですけど、ちょっとヘタな人、凄い人いるじゃないですか。出て来た瞬間に「ダメだこりゃ!」っていう方。

秋山 うん。

北郷 秋山さんにはそれがまったくなかったんです。凄かったですよね。殿に蹴られて落ちるシーンは強烈でした。

秋山 そうそうそう。

三又 階段からね。

北郷 あれって本当に落ちてるじゃないですか。

秋山 落ちてる、落ちてる。

北郷 あれってスーツの下に、プロテクターとか着けて落ちたんですか?

秋山 モロ! 何もなかった。

北郷 何もなかったんですか(笑)。結構な勢いで落ちてますよね。

秋山 一番最初に落とされるシーンがあったんだけど、何か着けてくれって話になったら「動きがギクシャクするからダメだ」ってなって「着けない」って言って。リハーサルで、じゃあこのまま行くかってなったら「ちょっと待ってください! 衣装が汚れるから上からジャンパー着てください」って、ジャンパー着させられて(笑)。

北郷 あ、衣装のほうを心配されたんですか(笑)。

秋山 そうそう(笑)。ほんで蹴っ飛ばされてコロコロと。

北郷 あれ、凄いうまかったですよね。

秋山 「うまいなぁ、お前」って。だから冷静で、蹴られてゴロゴロッと階段を落ちながら、あ、カメラがここにあるって確認して。

北郷 そうそう。ちゃんと手すりに顔がはまって、あれ凄い。

三又 さらに蹴られるんですよね(笑)。

北郷 そうそう! あそこ最高ですよ。さらにバス停まで一緒に歩いて。

秋山 そのバス停までのクダリってのは1回だけじゃなくって、2回、「風雲!たけし城」の収録現場で練習してたんですね。ずっと歩いてると、殿に蹴られてドンドンって。ゴンって蹴られて「テメェ何やってんだよ、この野郎! どこに勤めてんだよ」に、僕が怖気付いて、「品川、品川製作機械です」「名前は?」

北郷 そうそう。最初、名前言わないんですよね(笑)。

秋山 そうそう。「名前は?」「名前ですか?」って言ったら「その芝居がいい」って言われて。

三又 いや、良かった。

北郷 その弟子と師匠の関係性から滲み出る、殿からの「おい、お前バカ」っていう感じが凄い良かったですよね、自然で。

三又 うん。バスが行ってもまだやってるっていうね。

北郷 そうそうそう。

三又 ああいうコントテイストもあって。

北郷 あそこが唯一、「その男」でもコミカルテイストですもんね。

秋山 そしたらさ、「たけし城」の現場で頭バンバンバンバンやられてて、それを軍団の人が見るわけじゃん。

北郷 はいはい。

秋山 「あれ・・・秋山、また何しくじったんだろ・・・」って、みんな緊張して。

三又 あぁ~なるほど(笑)。

北郷 芝居なのに(笑)。

秋山 俺は映画の練習で殴られてんのにさ、みんな。

三又 ハハハハハ~

秋山 「異常だぞ・・・」って。

北郷 でも、そう思いますよね。

秋山 みんなの目線が、緊張感で「カ~!」ってなってんのがわかるんだよ。

北郷 「その男」の時は、バリバリ運転手の時代ですか?

秋山 運転手です。バリバリ。

北郷 じゃあ大変ですねぇ。撮影もやって、乗せて帰ってみたいな。

秋山 大変、大変! だってその間に番組の収録があったりとか、夜も運転手やってとかいろいろありますから、大変でしたねぇ、あの時は。

北郷 秋山さんの時代は殿が毎晩飲んで、外で待ってなきゃいけないとか、死ぬほど大変な時代ですよね? 今はなくなりましたけど。

秋山 いやいや、その時代からよっぽどじゃない限りは俺も中に入ってたよ。VIPじゃない限りは一緒に。



三又 ちょうどその「たけし城」の時に、僕、ADのバイトをしてたんですけど、秋山さんと殿に会えてないんですよ。

秋山 え、マジで。

三又 たけし軍団入りを実は考えてまして、「たけし城」でバイトしてチャンスを見つけようとしてたのに、殿が休んでまったく来ないの。

秋山 ハハハハハ。

三又 だから秋山さんも来ないの。

北郷 それは、殿が来ないと秋山さんも来ないですよね。

秋山 あ、そうだったんだ(笑)。

三又 今だから聞きますけど、休む当日は殿、何て言うんですか? やっぱり「緑山行くのやめろ」って言うんですか?

秋山 いや、違うんすよ。朝起きて「あぁ~、かったりぃなぁ~」って言い出して。

北郷 まず、秋山さんが迎えに行きますよね。マンションのピンポン押しますよね。

秋山 そしたら「あぁ・・・」っつって、出てこないんですよ。

北郷 朝から怖いな~。

秋山 怖いね。電話するかどうするかで悩んで、10分経ったか・・・電話しなきゃいけねぇなって。「もしもし秋山です」「わかってるよ!」

北郷 ハハハハハ! でも、しょうがないですもんね、秋山さんは電話しないと。

三又 ハハハハハ。こっちはADで用意してますよ。

北郷 大変ですね。

秋山 「まだ・・・」って言って。殿がちょっと待てって感じで。

北郷 最初はグズる感じなんですね、「あぁ、わかったよ、わかったよ」みたいな。

秋山 そう。グズるから、俺は森さんとか菊地さんに電話するの。

北郷 しょうがないですよね。

秋山 「とりあえず頼む、現場には連れて行ってくれ」って言われて(笑)。

北郷 それは大変なミッションですよね。

秋山 それで、また電話すると「あのよ~、熱があっていけねぇからよ、今日休むわ」って。

三又 ハハハハハ~!

北郷 ハハハハハ! それをまた伝えなきゃいけないじゃないですか(笑)。

秋山 それもちゃんと言ってくるの。「でよ、熱があってこれから寝るから、森さんに電話すんなって言っとけ」ガチャって(笑)。

北郷 全部、秋山さんに任せるんですね(笑)。

秋山 森さんに電話しとけって。

北郷 それ、全員にですよね。そのやり方、俺もよく知ってます。

三又 へぇ~。

秋山 それで結局、オンエアに穴開けるわけにいかないから、2本撮りしなきゃいけなくなって倍疲れるっていうね。

北郷 そうなんですよね。やらなきゃいけないですもんね。

三又 やってましたよ、ADを。「たけしさん、今日休みです」って言った時のスタッフと演者の「あちゃー」っていう感じね。

北郷 ハハハハハ。

秋山 そうそう。で、その後に俺が「やった! フリーだ」って「バンザーイ!」って家で寝てると――。

北郷 秋山さんは殿が休みになると休みになりますもんね。

秋山 そうそう。そしたら夜の21時頃に「寝たら元気になったから、フグ食いに行くぞ。迎えに来い」って(笑)。

三又 ハハハハハ!



北郷 仕事休むけど、夕方から元気になってきちゃって、よく見たら休んだ番組のディレクターが横にいたなんて言ってましたね。

秋山 そうそうそう。

三又 凄いねぇ。



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何も乗せない。何も植えない。
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